新しい環境で、新しい働き方
- 航 山田
- 8月2日
- 読了時間: 4分
更新日:8月4日

スタッフインタビュー|言語聴覚士
患者さんと向き合いたい
楓庵で働く前は、急性期病院で成人のリハビリを担当していました。
特にICUなどでの言語聴覚士としての仕事にやりがいを感じていて、「私は急性期が好きなんだ」と思っていたんです。
でも、友人から「楓庵って雰囲気いいよ」「一度見においでよ」と声をかけてもらって、実際に見学してみたら……雰囲気がまったく違いました。リハ職の先輩たちがとにかく親身で、事務所もあたたかい雰囲気。病院の雰囲気とは対照的で、「ここなら自分らしく働けるかも」と思えたのが入職のきっかけです。
訪問の現場で知った、「家で生きる」こと
訪問の仕事は、病院と全く違います。ご自宅に伺えば、ご家族がいて、生活があって、それぞれの“日常”があります。利用者さんだけではなく、関わる人の数も多くて、家庭によって必要な支援の形が全然違う。最初は戸惑いもありましたが、それが次第に「面白さ」へと変わっていきました。
たとえば、病院では“今ここ”での身体機能ばかりを見ていましたが、訪問では「その人が家でどう暮らしているのか」「家族との関係はどうか」といった全体を見ることになります。その分、リハビリの意味や重みも深く感じられるようになりました。
言語聴覚士(ST)という存在を、もっと多くの人に
訪問の現場に出るようになり、あらためて感じるのが、言語聴覚士(ST)の認知度の低さです。理学療法士や作業療法士と比べて、「何をしている職種なのか分からない」と言われることが少なくありません。
でも、言語聴覚士(ST)の支援って本当に生活に直結していて、特に“食べること”への支援は、その人の人生の質に大きく関わります。安全に食事をとれること、自分の好きなものを味わえること、それだけで人は笑顔になりますし、ご家族の安心につながります。
「一人で行くのが不安」——でも、違った
訪問看護で働く前は、正直言って不安はありました。一人で訪問するわけだし、急性期のようにすぐそばに仲間がいるわけじゃない。何かあったときに大丈夫かな?と思っていました。
でも、楓庵には沢山の言語聴覚士(ST)が活躍していて、それぞれが違う分野の経験を持っている。誰かに相談すれば、すぐに的確なアドバイスが返ってきます。私は成人がメインだったんですが、小児のケースでも「この子の発達の流れでこういう支援が合うかも」と同僚が教えてくれる。それがとても心強いです。
訪問は確かに一人だけど、「ひとりぼっち」じゃないんだと、働き始めて実感しました。
家という“生活の現場”で見えてくること
訪問を通して、言語聴覚士(ST)としての視点が大きく変わりました。
病院にいた頃は、患者さんの「今」の状態に集中する毎日でした。でも訪問では、利用者さんの生活そのものを見ることになります。たとえば、「ご飯を食べづらい」と言われた時に、実際にご自宅でどう食べているのかを見ると、椅子の高さが合っていなかったり、食事の姿勢に工夫が必要だったり。
家に帰ってはじめて見える課題が、たくさんあるんです。それを一つずつ一緒に解決していく。そのプロセスに、今はとてもやりがいを感じています。
「違う家、違う家族、違う関わり方」
訪問の面白さであり、難しさでもあるのが、「毎回違う」ということ。
病院だと、どの患者さんにもある程度同じ対応ができたけど、訪問はそうはいかない。それぞれの家に、それぞれのルールや文化があって、ご家族の雰囲気もまったく違います。だからこそ、「この方にはどう寄り添えばいいか」と常に考えるようになりました。
ある意味では、STの専門性以上に「人間力」のようなものが問われる仕事かもしれません。でも、それがまた面白いところです。
ゆとりがあるから整う
前の職場では残業も多く、毎日帰る時間が読めませんでした。楓庵では、スケジュール管理がしっかりしていて、ほとんど定時で帰ることができています。
帰りに買い物をしたり、友人と食事をしたり、自分の時間をきちんと持てるようになりました。休日も「午前中は寝て午後から活動」という生活ではなく、心身ともにゆとりができたと感じます。
それは、利用者さんと向き合ううえでもすごく大事なことだと思います。自分が整っているからこそ、より良い支援ができます。